生と死の狭間

2003年6月4日
バイトが終る時間、ミツと向いのバーで待ち合わせをしていた。
一杯ずつ飲んだ後、彼の愛車でミツ宅へと走った。
私はいつものようにお酒に呑まれていた。
ミツの荒い運転が気持ちよかった。
愛車の屋根も窓も全開にし、真夜中の静まり返った街でちょっと気の利いた洋楽を大音量でかけながら、スピードを上げて走っていた。
このまま彼と死んでしまいたいと思った。
つい最近、双葉社から出版されている本多孝好さんの書かれた単行本の一作品で、恋人とのドライブ中、女性が車のブレーキの下に飲み終えた缶コーヒーを仕込み、運転中の恋人にキスをし視界を遮って心中を図ったという場面を思い出した。

ミツは、十代の無茶苦茶やってた頃の私を呼び覚ましてくれる。
生と死の狭間に立たされる快感、世の中の決まりに反発するというスリル、そして自由を手に入れた瞬間。
世の中が、私たち仲間を中心に回っているかのような錯覚が気持ちよかった。
金なんか無くても楽しい事はたくさんあった。
死さえ恐れなければ、なんでも出来た。

今は、この汚い世の中の決まりに従い、金を稼ぐ事に必死で、死ぬ事も怖い大人のような子供になってしまった。

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