この日は、婚約者Yとの1周年記念日だった。
婚約者Y宅でお祝いをする約束をしていたが、私は生理二日目という事で具合が悪くてキャンセルした。
申し訳ないという気持ちはあったが、ミツと会う事にした。
ミツはいつも車送り迎えをしてくれるし、自宅が近い。
それに比べ、婚約者Yは車の運転免許取り消しで家は遠いし、京浜急行線はいつも混んでいる。
ただそれだけの理由でミツに会う事を選んだ。
いつもつるんでいる美男子系後輩君を誘って3人で、飲み屋を3件ハシゴした。
ミツ宅へ着いたのは朝6時を回っていた。
私は一人でビデオを見ながら、まだ缶ビールを片手にしていた。
そこからは、ほとんど記憶がない。

私は、『私』の行動をただ呆然と眺めていた。
刃物を探していた。
ナイフのような刃物は見つからず、あいにくハサミしかなかった。
ハサミを開きナイフのように握り、手首を勢い良く斬りつけた。
思ったように上手く切れなかった。
ハサミを持ち替え、今度は先端の尖った部分を手首に刺した。
この方法も駄目だった。
血液が綺麗に流れない事に腹を立てた『私』は何度も何度も勢い良く斬りつけていた。
次第に私は気を失っていた。
(つづく)

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