私と『私たち』

2003年8月1日
この日は、アルバイトの面接の予約を入れていた。
目覚ましをセットした時間に、ミツが起こしてくれた。
私は寝起きがとても機嫌が悪く、子供みたいに駄々をこねる生き物であるため、この日の寝起きも最悪だった。
私は寝惚けながらも面接の事を思い出したが、鬱になった。
『どうせ受かる筈ない…』
この日の面接先は、大手のチェーン店で飲食は少し値の張った店だったので、以前から硬いイメージを抱いていた。
ミツは、面接に行く準備をしない私にシビレを切らし、文句を言い始めた。
ミツの言っている事は『もっとも』だったので、私は反論はしなかった。
だが、優柔不断なウジウジした自分に嫌気がさし、ミツにまでも迷惑をかけている事に気付き、「ごめんなさい、もう迷惑かけません。」とだけ言い残し、子を連れて出て行こうとした。
ミツは一瞬驚いた表情の後、「どうして、いつも勝手に決めて勝手に妄想して勝手に行動するんだ!?」と怒鳴った。
私は、冷静にその言い分も正しいと思った。
もう自分自身何がしたいのかわからないし、何かしようと思っても自信がなく、何が正しいのかわからないし、できれば人と接触したくないし、何もしたくない。。。
ミツに怒鳴られながらそんな事を考えていた。
私はそのとき気付かなかったが、既にいくつもの人格がシンクロし始めていた。
そして惨めな自分の姿を第三者的にその輪から出て見ていたら、頭の悪い自分が可哀相に思えてきた。
『私』は私に、『ただミツと子と一緒にいたいだけなのに…』と訴えてかけてきた。
その瞬間、涙が溢れた。
と同時に『キタナイ』と『私』が私の中で呟いた。

ミツは私を慰めるように、「ドライブに行こう!」と言った。
相模湖のもっと奥の方へと行った。

山頂に近い川の水は冷たく、空気も澄んでいた。
私は膝まで水に浸かり、川の流れに逆らって歩いていた。
流れはとても強く足を上げた瞬間、流されそうになった。
水温は、5分も浸かっていれば足の痛みが増して、10分も浸かれば感覚はなくなっていた。
どのくらいの時間そこにいたのだろう…
帰りは夕暮れを過ぎていた。

帰り道、ミツがオカシなことを言い出した。
「今日のお前は少し不安定だな」と。
私自信は気付いていなかった。
「どうして?」と、その訳を訊いた。
「会話の順番がメチャクチャだ。さっき話した会話を突然持ち出すし、質問と答えが全く合っていないし、ずっと声が小さいしボーっとしている。」とミツは答えた。
私はその言葉の意味を考える事すらも出来なかった

その後どういった会話をしたのか思い出せないが、その何分か後にふと思った。
『そういえば記憶が全くない…』
ついこの前の事さえ思い出せずにいたことに気付き、ミツの先ほどの言葉を理解した。

私の脳の中はどういう情報処理の仕方をしているのだろう。
元婚約者Yとの思い出までも消し去ろうとしている。
大間かな記憶はあるが、内容を思い出せない。
記憶障害は、今までにも何度も感じていたが、どんどんひどくなる。
学生時代の記憶などは殆どない。
3年前同窓会に出席したが、同級生との思い出の話についていけなかった。

静かに暮らしていきたいだけなのに…
私の中の『私』は欲が強く意地が悪い。

人は、『私』を私だと認めることが解決方法だと言う。
だが認めてしまったら、私を殺そうとしているのも私自身。セックスを好きな私も、セックスを嫌いな私も私自身。男性に触られて呼吸困難に陥る私も、普通に男性と接することができる私も私自身。女性に恋する私も、男性に恋する私も、恋愛は妄想だと言う私も私自身。『人格がシンクロし始めた』と思った瞬間も、その後の記憶がない私も私で、手首を切ったあと流血しながらも「また失敗した、これじゃ死ねない」と言ったのも私で、HPに何人もの名前を使って書き込みをしているのも私一人での自作自演なわけで、子の手首を斬ろうとしたのも私。。。



受け入れることさえ出来ないのに、認めるなんてとうてい無理な話だ。
認めたところで混乱するし、今にも発作が出そうになる。

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