私と子との間に
2003年8月2日ミツとハンバーグ屋に行った。
私は昨日と同様、意識が朦朧としていた。
なぜか急にミツに真実を言う気になった。
「バイト、実は辞めたの。」
そこからミツのお説教は始まった。
私は、私じゃなかった。
人格たちがシンクロしてから何分たった頃だろう。
ミツも気付いたようだ。
私は、『私』を背後から眺めていただけだった。
ときどき気は遠くなっていたので、記憶は曖昧だ。
ミツのお説教が続く中、『私』の座っている椅子になにかがぶつかった。
『ガツンッ!!』。。。
私はその鈍い嫌な音で正気に戻った。
斜め下を見ると4、5歳の女の子がふざけていて別の椅子から落ちて私の椅子の脚の部分に頭をぶつけたようだ。
泣き叫ぶその女の子に両手を差し伸べたが、私の手は震えていた。
女の子は泣きながら立ち上がり、両親への元へと走って行った。
両親は女の子を抱え、私に「すみません。」と言い残し、店を後にした。
私は、まだ子が赤ちゃんの頃、ずっと一人で子の世話をしていた。
何もわからなかった。
不安ばかりが募った。
いつしか私は子の泣き声を聞くと、発作が出るようになっていた。
私は子を抱きもしないで、一緒になって泣いていた事もあった。
その頃は、愛情よりも恐怖感が先立っていた。
私が食事の用意をしていると、寝ていた筈の子の部屋から鈍い嫌な音が聞こえた。
すぐに走っていくと、子がベッドから落ちた様子で一瞬大声で泣き叫んだ。
私が抱き上げた瞬間、子は気を失った。
呼吸もしていなかった。
私は子の名前を何度も呼んだ。
唇がだんだん青くなっていった。
私は無我夢中で背中をどんどん叩き、名前を呼んだ。
すぐに子は目を覚まし、呼吸と共に泣き始めた。
と、同時に気が抜けた私も一緒に泣いた。
今思えば、泣き方はとても激しかった。
子が少し大きくなってからは、私は口にタオルを押し込んで泣き叫ぶようになっていた。
子の目の前で。
これから先も不安だ。
だけど、これからは少し違う。
ミツがいる。
これから上手くいけばいいが、私はまだ結婚する気にはなれない。
今度こそ、失敗しても最後の結婚になると思っている。
子の兄弟も欲しい。
だけど、私自身の育てていく能力に不安を感じる。
子にしても、『犯罪者になるかもしれない』『精神異常者になるかもしれない』…など考えてしまう。
子は2歳半の頃、あんな血だらけの母親を目の当たりにしている。
後悔しても遅い…。
でも、この子には私と同じ道を歩んでほしくない。
とても大切に思っている。
私は子に何度も助けられた。
動脈を切って気を失っていた時のこと。
救急車で運ばれ、集中治療室にいたようだ。
医者に名前を何度も呼ばれ一瞬だけ気を取り戻した。
私がとっさに口にしたのは「子供がいるんです、助けてください」だった。
こんな格好悪い言葉を口にしたのは初めてだった。
だけど、ただ命乞いをしているわけではなかった。
あんなに独占したかった彼の為に斬った傷だったが、子の顔が浮かんだ。
『子を独りにはさせたくない、子を失いたくない』と、切に願った。
そしてまたすぐに目を閉じた。
『死』を初めて感じた夜、子への愛情に初めて気付いた。
私は昨日と同様、意識が朦朧としていた。
なぜか急にミツに真実を言う気になった。
「バイト、実は辞めたの。」
そこからミツのお説教は始まった。
私は、私じゃなかった。
人格たちがシンクロしてから何分たった頃だろう。
ミツも気付いたようだ。
私は、『私』を背後から眺めていただけだった。
ときどき気は遠くなっていたので、記憶は曖昧だ。
ミツのお説教が続く中、『私』の座っている椅子になにかがぶつかった。
『ガツンッ!!』。。。
私はその鈍い嫌な音で正気に戻った。
斜め下を見ると4、5歳の女の子がふざけていて別の椅子から落ちて私の椅子の脚の部分に頭をぶつけたようだ。
泣き叫ぶその女の子に両手を差し伸べたが、私の手は震えていた。
女の子は泣きながら立ち上がり、両親への元へと走って行った。
両親は女の子を抱え、私に「すみません。」と言い残し、店を後にした。
私は、まだ子が赤ちゃんの頃、ずっと一人で子の世話をしていた。
何もわからなかった。
不安ばかりが募った。
いつしか私は子の泣き声を聞くと、発作が出るようになっていた。
私は子を抱きもしないで、一緒になって泣いていた事もあった。
その頃は、愛情よりも恐怖感が先立っていた。
私が食事の用意をしていると、寝ていた筈の子の部屋から鈍い嫌な音が聞こえた。
すぐに走っていくと、子がベッドから落ちた様子で一瞬大声で泣き叫んだ。
私が抱き上げた瞬間、子は気を失った。
呼吸もしていなかった。
私は子の名前を何度も呼んだ。
唇がだんだん青くなっていった。
私は無我夢中で背中をどんどん叩き、名前を呼んだ。
すぐに子は目を覚まし、呼吸と共に泣き始めた。
と、同時に気が抜けた私も一緒に泣いた。
今思えば、泣き方はとても激しかった。
子が少し大きくなってからは、私は口にタオルを押し込んで泣き叫ぶようになっていた。
子の目の前で。
これから先も不安だ。
だけど、これからは少し違う。
ミツがいる。
これから上手くいけばいいが、私はまだ結婚する気にはなれない。
今度こそ、失敗しても最後の結婚になると思っている。
子の兄弟も欲しい。
だけど、私自身の育てていく能力に不安を感じる。
子にしても、『犯罪者になるかもしれない』『精神異常者になるかもしれない』…など考えてしまう。
子は2歳半の頃、あんな血だらけの母親を目の当たりにしている。
後悔しても遅い…。
でも、この子には私と同じ道を歩んでほしくない。
とても大切に思っている。
私は子に何度も助けられた。
動脈を切って気を失っていた時のこと。
救急車で運ばれ、集中治療室にいたようだ。
医者に名前を何度も呼ばれ一瞬だけ気を取り戻した。
私がとっさに口にしたのは「子供がいるんです、助けてください」だった。
こんな格好悪い言葉を口にしたのは初めてだった。
だけど、ただ命乞いをしているわけではなかった。
あんなに独占したかった彼の為に斬った傷だったが、子の顔が浮かんだ。
『子を独りにはさせたくない、子を失いたくない』と、切に願った。
そしてまたすぐに目を閉じた。
『死』を初めて感じた夜、子への愛情に初めて気付いた。
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