甘い。
2006年4月25日家のチャイムが鳴った。
娘が風邪をひいて学童保育を休んだ日だった。
玄関を開けると、見た目は二十代半ばの女性が立っていた。
彼女は何か遠回しな話を始めた。
私は彼女の言わんとしている事がわからなかったが、頷き話を聞いていた。
彼女の話し方は、営業職は初めてなのだろうと思わせた。
彼女はとにかく本題に入るのが遅くて、私を苛付かせた。
しかしそれは、以前就労していた頃の私とどこか重なった。
営業という初めての職につき、私はオドオドしていた。
顧客の前でもオドオドしている為、客にも上司にも指摘された事は何度でもあった程だ。
彼女の様子は、その時の私を思い出させた。
私は急に彼女に親近感を覚えた。
彼女が売ろうとしているその商品(本)の価値には全く魅力を感じなかったが、彼女の一生懸命さに魅力を感じた。
私は、彼女の一生懸命の姿勢にお金を払って、その本を買った。
彼女は嬉しさが溢れる程の笑みを見せてくれた。
最後に『頑張ってください』の一言を添えてドアを閉めた。
彼女が帰った後、少し後悔した。
私の払ったお金は、彼が懸命に働いたお金だという事を忘れていたからだ。
彼が帰宅して、私は真っ先に謝った。
彼は『そういう海月の優しいところが好きだよ』と言ってくれたが、それはそんなんじゃない。
人に優しいのではなく、自分自身に甘いだけなのだと思った。
娘が風邪をひいて学童保育を休んだ日だった。
玄関を開けると、見た目は二十代半ばの女性が立っていた。
彼女は何か遠回しな話を始めた。
私は彼女の言わんとしている事がわからなかったが、頷き話を聞いていた。
彼女の話し方は、営業職は初めてなのだろうと思わせた。
彼女はとにかく本題に入るのが遅くて、私を苛付かせた。
しかしそれは、以前就労していた頃の私とどこか重なった。
営業という初めての職につき、私はオドオドしていた。
顧客の前でもオドオドしている為、客にも上司にも指摘された事は何度でもあった程だ。
彼女の様子は、その時の私を思い出させた。
私は急に彼女に親近感を覚えた。
彼女が売ろうとしているその商品(本)の価値には全く魅力を感じなかったが、彼女の一生懸命さに魅力を感じた。
私は、彼女の一生懸命の姿勢にお金を払って、その本を買った。
彼女は嬉しさが溢れる程の笑みを見せてくれた。
最後に『頑張ってください』の一言を添えてドアを閉めた。
彼女が帰った後、少し後悔した。
私の払ったお金は、彼が懸命に働いたお金だという事を忘れていたからだ。
彼が帰宅して、私は真っ先に謝った。
彼は『そういう海月の優しいところが好きだよ』と言ってくれたが、それはそんなんじゃない。
人に優しいのではなく、自分自身に甘いだけなのだと思った。
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