金と血

2004年4月22日
ようは

金くれりゃーいいんだよ

ヴぁーか

ちきしょー
血ー流れてんじゃんかよ

くそ

2004年4月22日
あんまりメールが来ないから電話しちゃった。
うぜーな。
電話したら「メールの言葉考えてた」ってさ。
くそだよ。
今、一人の男性をメールをしています。
そして、私のパソコンの前・横・後ろには剃刀が置いてあります。
面白い。
彼の返事で、私の行動が)起こるか起こらないか。

ねぇ、面白くない?

今は生きてる。

2004年4月21日
間違えた。
キモチワルイ。
飲みすぎでしょう。

でも、明日また生きていたなら、私は頑張ります。

リスカ2本

2004年4月18日
ミツんちのトイレで切った。
血が溢れた。
病院へ行った。
縫った。
先生呆れてた。

今も切りたい。
剃刀持ってる。

死にたくない。
でも死にたい。

死ぬのは怖い。
だけど生きるのも怖い。

みんな私が死んでも何年後かには忘れる。
娘も同じ。
私は母親失格。
娘にとって、祖母と祖父がいればいいの。

ごめんなさい。
とりあえず包帯取るね。

リスカ4本

2004年4月11日
1年ぶりに友達A子と再会した。
居酒屋で3時間飲んだ後、最寄駅までミツに迎えに来てもらった。
そして、そのままドライブをした。
帰りには、すっかり酔いが覚めていた。
だが、私の中で葛藤したいたモノがあった。

私はミツとベッドに入り寝ようと努力していたが、葛藤していたその相手はその場から逃げ出したくて、私を寝かせ様とはしなかった。
そいつは、私が眠りにつく頃、起きだしてバッグを持って家を飛び出した。
コンビニで焼酎を1本と剃刀を買っていた。
私は自分の中で「だめ」という言葉を何度も叫んでいた。
何度も何度も。
疲れた私は気を失っていた。
気がついた時には、桜の木がたくさん生い茂った公園のブランコで手首を切っていた。

私は疲れきっていた。
切った本人は、誰かと電話をしていた。
私の振りをして。
電話を切ってから、私は完全に私に戻った。
「こんな夜中に、こんなに暗い公園で、一人血まみれになって…」
正気にはなれなかった。
血まみれの手で血まみれの泥を触りながら、途方に暮れていた。
いっそ、死んでしまおうかと思っていた矢先に、彼ミツがやってきた。

ミツに連れられ救急病院に運ばれ、3箇所の傷口を縫われた。
お金の精算している時、父が駆けつけた。
私は父に何をされたかは覚えてないが、パニックに陥った。
病院内で泣き叫んでいた事は覚えている。

それから、まだ隠し持っていた剃刀で、家路に向かう車を運転する父の首を切ってやろうと考えていた…事を覚えている。

そして震える手でミツにしがみ付いていた事を覚えている。

縫った3本の傷は…
外側だった。
内側は1本浅い傷があった。
もし、外側に切った傷が内側だったら、動脈まで届いていた筈なのに。
アイツは、私を殺してはくれない。

形成外科医に言われた。
「勇気があるね。ためらい傷はよく見るけど、こんなに深く切る人は珍しい」と。
医者の言う言葉じゃない。
所詮、医者は他人。

人は人。

父が泣いていた。
気持ち悪いと思った。
気持ち悪いと娘に思われている父に同情する。
母も同じだ。
だけど、両親共いい人だ。
嫌いじゃない。
気持ち悪いだけ。

疲れた。

抜糸。

2004年4月9日
◆8日◆
仮想恋愛の相手は、普通のサラリーマンだった。
居酒屋で飲んだ後、ラブホに入った。
先にシャワーを浴びようと、浴室に入った。
彼も続いて入ってきた。
 ・
 ・
 ・
それから…
覚えていない。
何もかもまったく。
マリが…
相手をしたのだろうか。
それすらわからない。
私が覚えているのは、「バイバイ、またね」と駅で彼と別れた瞬間だった。
バッグのポケットには、金があった。

◆9日◆
昼間、形成外科に行った。
抜糸した。
痛かった。
安心した。
訂正。
ミツはいい人ではない。
人はよくわからない。
昨日も喧嘩した。
ウザかったから、人格交代して「私」は寝た。
私の中の誰と喧嘩をしていたのかはわからない。
とにかく、今朝目が覚めて体中をチェックして、傷が増えていないのを確認し、安心した。

兄の携帯が繋がらない。
一瞬、パニック障害なる発作が出るかと思ったので、すぐにクスリ(安定剤)を飲んだ。
そして兄の嫁に連絡した。
「兄は酔っ払って、携帯を失くした」との事。
少し落ち着いた。

今日は、これから仮想恋愛をしに行きます。
相手の年齢は35歳。
まぁ、若い分安くしてやった。

明日は撮影含め仮想恋愛。
そいつも若いから安めの値をつけた。
撮影ってだけで、だいぶ上乗せはしたけどね。

日曜は、トシオに会う約束を取り付けた。
トシオにはどう話を切り出そうか考え中。
上記の2件は、駆け引きがないから、いつも通りマリ(副人格)が上手くやってくれる筈。
トシオの件は、まず出方を見てみようと思う。

来週の仮想恋愛のお相手は年配さん。
少し高値を付けてやったら、あっさりOKした。

1か月分の給料には達する。
後は物件探し。
居場所を作らないと、いつまでもミツから離れられない。
きっと何ヶ月も寂しい思いはするだろうけど。

耐えるしかないでしょ。
私が死んだらどうなる。
わからない。
葬儀に誰が来て、誰が本気で泣いてくれるだろう。
そして死ぬまで、私の死を悲しんでくれる人は誰がいるだろう。
今、私を本当に必要としてる人は誰なんだろう。
自分の為には生きられない。
だから、その人の為に生きる事はできるのかもしれない。

生きている・存在している意味が欲しい。
「苦しい事もあるけど、同じくらい楽しい事もある」
だからどうしたの?
楽しいから生きるの?
存在する意味には程遠い。

「やりたい事ないの?」
何もない。
死ぬ行為も生きる行為も何もしたくない。
私は「無」になりたい。
それが、「やりたい事」の答えになってる?

一番やりたくない事は、笑う事。
これほど疲れるモノはない。
ミツの家の食卓で…
ミツ、ミツの両親、子供は笑ってる。
例えばテレビを見ながら。
会話をしながら。
私は、あなた方と接したくもないし、ましてや食卓を囲みたくないし、食事も取りたくないし、面白可笑しくもないわけで笑いたくない。
だけど、引き攣った笑顔を見せる。
馬鹿げてると思ってる。
全部メチャクチャにしてやりたいと、いつも思ってる。

子供と二人っきりなら、子供の為に笑顔を見せて、会話して…
愛ある家族ごっこはできる。

ミツはいい人。
私には相応しくないいい人。
もう傷付け合いたくない。
彼を傷付けたくない。

帰ろう。
実家ではなく、本来私と子供のいるべき場所へ。
「自分の居場所」は自分で作るモノでしょ?
そうミツが教えてくれた。
そして世の中お金でしょ?
二十数年間で私が学んだ事。

ダイジョウブダイジョウブダイジョウブ

心で唱える。
何度も何度も。
私には子供がいる。
まだ、生きるべき意味が残されている。
だからダイジョウブ。
明日はイチに会う約束をしている。
イチといると面白い。
でもセックスは断らなきゃと思っている。

彼ミツは変わった。
私がリストカットを続けて2回もしたせいなのか。
R子に相手にされなかったからなのか。
理由はわからない。
優しく接してくれる。

だが、私の「別れる」意思は変わらない。
ただ「別れる」理由は変わった。
私の為、ミツの為に別れるのではなく、ミツとミツの両親と、私の両親と子供と兄の為に別れる意思を固めた。
私は多くの人間を傷つけ、迷惑をかけながら生きてきた。
もうそんな生き方はたくさんだ。

兄が言ってくれた。
「N子(兄の子)もH子(私の子)も同じくらい可愛い。H子の事を自分の子供のように思ってる」と。
兄の言葉は、嘘でも嬉しかった。
そして…
「お前は俺のたった一人の妹なんだ。もう自分を責めるな。自分を傷付けるな」とも言った。

でもね、お兄ちゃん。
私の中にはお兄ちゃんの妹ではない人がいるの。
私を憎んで傷つけて楽しんでる人。
その傷が気持ち悪くてグチャグチャにする人。
私を助けてくれる人もいるよ。
私に呆れてる人もいる。
幼い頃の私もいる。
お兄ちゃんを嫌いな人もいる。
両親を殺したい程憎んでる人もいる。
子供を嫌い人もいる。
…どうしたらいいの?
私はどうしてこんなふうになっちゃったの?
お兄ちゃんは、もう自分の家族をもってる。
だから私はお兄ちゃんを独占できない。
お兄ちゃんを困らせたくないの。
幼い頃からお兄ちゃんだけは大好きだった。
今でも愛してるよ。
馬鹿な妹でごめんね。

でもね、お兄ちゃん。
同情されたいわけじゃない。
疲れた。
昨夜、義姉と連絡を取った。
兄の会社はもう危ないという話を聞いた。
もう兄には頼れない。
だから…
だから昔付き合っていた男性(トシオ)に連絡を取ってみた。
彼(トシオ)は、未だに私を忘れられないでいたらしい。
2年ぶりの電話口で「もう一度付き合おう」と言われた。
断った。
私は縁りを戻す為に連絡をしたのではなく、金銭目当てだから。
トシオに会った時には、それをハッキリ言おうと思う。
「助けてくれ」と。
トシオが、どうでるかはわからない。

私の判断は間違っているのかもしれない。
それでも、仕方ない。
今、頼れるのはトシオしか思いつかなかった。

私はもう決めたんだ。
彼氏ミツと別れる。
それから子供が成人するまで、私は結婚願望を捨てる。
私は、子供の為に生きる。

自傷行為も人格障害もパニック障害も躁鬱病も治らないかもしれない。
それでも、その病気等と上手く付き合っていくしか、生きる道は残されていないと思う。

ミツには、この1年間苦労をかけた。
だけど、私はもう子供と生きる事を望む。
ミツには私よりイイオンナ(人)が現れる。
彼はイイ人だから。
きっと大丈夫。

私もミツも大丈夫。
きっと上手く生きていける。
一昨日の明け方、なにかに興奮した。
そのときの行動…なぜか手首に縫われていた糸を一気に抜いた。
記憶が曖昧だから、興奮した理由も抜糸した理由もわからない。

昨日、救急で運ばれた外科に行った。
「あーあ…まだ繋がってないから、手首に刺激を与えないように」と言われた。
それと「精神科に相談するように」とも言われた。

今朝、精神科を訪ねた。
以前の診察では「躁鬱病」「パニック障害」のみの診断がでた。
今回は「多重人格障害の疑いがある」と言われた。
薬は3種類に増えた。

彼ミツはというと、優しくなった。
以前の彼に戻ったという言い方の方が合ってる。
一昨日、自分で抜糸をした時、彼にリスカした事を知られたらしい。
彼の目の前でやったのだから。
彼は「別れ」を切り出さなかった。
逆に「一緒に頑張ろう」と言っていた。
その言葉に、私は一瞬気が緩んでしまった。
でも、もう遅い。
私の一番欲しい「愛と信頼のある家族」は築けないのだろうと思う。

実家に戻る決心をかれに伝えた。
彼の反応は…よくわからない。
ただ止めはしなかった。

残り27日の間に、私は実家に戻ります。
子供を大事に育てます。

残り32日―リスカ―

2004年3月25日
仮想恋愛をして、お金をもらった。

自宅に着いた。
サトを呼んだ。
二人で晩い晩酌をした。
サトが帰った。

部屋で一人晩酌の続きをしていた。
リスカした。
血が止まらなかった。
兄に電話した。

兄とバーに行った。
明け方バーを出た。
血は私の左手の袖からまだ流れていた。
病院へ行って縫った。

帰り際、兄にフレンチキスをした。

部屋に入ってすぐに寝た。

残り35日―不倫―

2004年3月23日
気晴らしと思い、友達(イチ)に会った。
1年2ヶ月ぶりの再会。
まずはカフェで懐かしい話に花が咲いた。
そして…定番のカラオケ、軽く飲み、ホテルへ向かった。
はんば強制。
イチとセックスをする事が嫌ではなかった。
彼ミツとの残り35日を、私は「潔白」でいたかっただけだ。
仕方ない。
イチは既婚者。
イチの妻も不倫をしているらしい。
以前は他人に弱みなど一切見せなかったイチが、たくさん話してくれた。
私の話も聞いてくれた。

イチは優しかった。
ただ、その優しさが彼ミツを思い出させた。
ミツも付き合い当初は、イチのように優しいキス、優しい愛撫、優しい口調、優しい気遣いのできる男だった。
後悔はしていない。
ただ少し切なくなった。

残り36日。

2004年3月22日
リストカット。
パニック障害。
躁鬱病。
精神分裂病。
アルコール依存症。
摂取障害。
境界型人格障害。

私は、ダメな人間ですか?

リストカットをするなと言われたので、煙草の火を体に押し付けました。
今度は足を切りました。
死ねるわけではありません。
何をしても怒られるので、やっぱりリストカットにしました。
薬もお酒もたくさん飲みました。
記憶はありません。
何度も同じ事を問うので、怒られます。
だから極力、質問する事を避け、頭の中で考えてから物事を口にするように気を付けました。
そしたら考える時間が長くて、言葉を口にする事が少なくなりました。
挙動不審になってる…シッカリしろと怒られました。
周りのみんなが小さな声で、私の悪口を言ってます。
幻聴かもしれません。
でも事実かもしれません。
悪い結果の物事は、全て私のせいにされてしまいます。
反論をすると怒られます。
嫌われてしまいます。
居場所を失わない為に私は我慢します。
でも、それも私の被害妄想なのかもしれません。
わかりません。
なにがなんだかわかりません。
恐かったり悲しかったり苦しかったり…
今はただただ眠りたいです。
ゆっくり。

残り37日。

2004年3月21日
彼と私の未来は、後37日。
37日後は、彼と私が出逢った記念日。
少し気取って洒落たレストランでいつもより豪勢な食事で記念日を祝おうと、約束した。
私は、その日「別れ」を告げる。

彼は裏切った。
私も裏切った。
彼の裏切りを私は知っている。
私の裏切りを彼は知らない。
知る悲しさ、切なさ、苦しさ…
知らない幸せ、喜び、癒し…

私の中のカウントダウンは、彼の4度目の裏切りの日から始まった。
私はとても小さな人間だ。
彼を許せる程、寛大な気持ちや余裕は持っていなかった。
それは、彼も以前から承知の上での行動だった。

あんなに感じていた彼とセックス…
濡れなかった。
イケなかった。
私の愛は薄れている。

ドラマのような愛情溢れる家族…
欲しかった。

別々。

2004年3月19日
彼がいない。
オンナと出かけた。

私はサトに会った。
「別れる」相談をした。
サトは「別れるな」と言った。

別れても、サトは私と友達でいてくれると言った。

精神病院(初診)

2004年3月16日
病院の入り口の扉を開いた。
十数人の患者と思われる人の中で4、5人がこちらを振り返った。
私は気づかないフリをして、受け付けに立ち寄った。
受け付けの人は、茶髪の二十台半ばと思われる女性が一人と、真面目そうで三十台後半と思われる女性がいた。
私が「予約を取った海月ですけど…」と言いかけると、上で紹介した後者の女性が「初診の方ですね。こちらに記入してください。それと保険証をお持ちですか?」と尋ねた。
私は初診受け付けカードに記入し終え、保険証と一緒に提出した。
「では、お座りになってお待ちください」と彼女は言った。
後ろを振り返り、混雑している待合室の空席を探したが、私が座りたいと思えるスペースはなかった。
ふと右側にある扉に目をやると、そこには喫煙室という表札が貼ってあったので、その部屋の中に入ってみた。
そこでは患者同士大声で喋り合い、とてもじゃないが同じ空間にはいたくないような嫌悪感がしたのだが、部屋を覗いて引き返すという行為をする度胸もなく、扉の隅に置いてあったイスに腰をかけた。
そのとき、そのうるさい集団のお喋りは一瞬終わったように思えたが、私が煙草に火を点けた直後、また迷惑な座談会は始まった。
私は息が詰まりそうだった。
そして彼女等を見下していた。
20分もすると、彼女等は徐々に姿を消していった。
私は座り心地の良さそうな椅子に座りなおし、2本目の煙草を吸いながら小説を読み始めた。
待ち時間は、およそ1時間前後っだただろうか。

「海月さーん」
私の名前が呼ばれた。
私は聞こえそうもない声量で「はい」と返事をすると、診察室へと速やかに移動した。
医者に「どうしたの?」と唐突に聞かれた。
そのときの医者の態度といったら、仕事に対して意欲は感じられないものの「面倒くせーなー」というような声まで聞こえてくるような姿勢での対応だった。
私は、アルコール中毒以外の話はせずに、その他の話を簡単にまとめ話た。
それから医者はなにやらテキストのようなモノを持ち出して、総計50問程の質問を繰り返した。
私はそれに淡々と答えた。
時折、その答えに対しての説明も交えて話した。
ふと気付くと、医者は徐々に私の方に近付いてきていた。
私は、それがどうも気になって、気付くと医者にはわからない程度に椅子を引いていた。
一通りの診断が終わると、彼は結論を言い薬の説明もした。
「今日の診断の限りでは、パニック障害、躁鬱病があると断定しました。2種類の薬を出しておきます。まずはパニック障害を治す事から始めようと思います。1週間分の薬を出しておきますので」
このような内容で告げられた。
私は「はい」と頷いた。
「最後に手を触らせてください」と医者が言った。
私は驚きを隠せずに「え?」と聞き返したが、既に私の手を触れていた。
そして医者はすぐに手を離し、「やっぱり汗かいてますね」と一言だけ言った。
私は幼い頃から、緊張すると汗をかく事は自覚していたが、医者のあまりにも唐突な発言と行動に少し動揺した。
「ありがとうございました」と最後に社交辞令を言い残し、診察室を出た。
そして受け付けで薬を受け取って、病院を後にした。

私の異性との友情。

2004年3月14日
喧嘩をした。
なにから始まった喧嘩なのかは思い出せない。
私は相変わらず我慢する事を知らない。
自分の思いを一言口にした途端、それは涙と共に止め処なく溢れ出す。
溢れ出たモノを彼は全て跳ね除ける。
何一つ受け止めてもらう事はできなかった。
彼が『否定』という文字そのモノの塊に思えた。

その喧嘩が終わったのは、私がこれから真直ぐに強く生きていく意思を口にしたからだった。
もちろんそんな強い意志など、私の中の辞書には存在する筈もない。
そして彼にはそれを見抜く力はないようだ。
彼は納得した。
その後、彼は私を慰めようと車を走らせ、みなとみらいまでの道のりを明るく振舞っていた。

ドライブを終えて帰宅すると、彼の後輩のジャニーズ系の顔をした美青年のサトが待っていた。
3人で近所のバーへと足を運んだ。
各種アルコール類を飲みながら、私たちは他愛もない話で盛り上がった。
3杯目を飲み始めた頃、彼ミツは私に向かいこう言った。
『海月、サトと付き合えばいいよ。お前ら合うんじゃない?』
それは嫌味な言い方に受け取れた。
私はそんな事を口にしたミツに驚いた反面、寂しくも感じ言葉を失っていた。
そしてミツは後輩サトにも嗾けた。
『なぁ、どうよ?』
【いや、ありえないですよ】と、サトは笑いながら即座に答えた。
サトに私も続いた。
≪そうだよ。サトとは友達だからイイ関係で楽しくいられるけど、付き合ったら絶対合わないよねぇ≫
酔ったフリをしながら大袈裟に笑い、サトに発言権を返した。
【てゆーか、海月とミツさんスゴイ似合ってますよ。えっと、上手く言えないけど、いいと思いますよ】と、サトは言った。
サトのその言葉にどう感じたのかはわからないが、ミツはそこで他に関心を向け、その話題は終わった。

どこまでも勝手な奴だと思った。
私たちの問題で、サトは過去何回もとばっちりを受けている。
私はその度に申し訳ないと思う。
実際、私が個人的にミツの事に関して相談する事はあるが、礼儀は弁えているつもりだ。
ミツはただの我が道を往く勝手な男なのかもしれないと思った。

サトはいい奴だ。
実際、サトと付き合いたいなどとは一度も思った事がない。
きっとサトも同じだろう。
だからサトと私はいい友達関係でいられる。
きっぱりと一線を置いた付き合いをしているからだ。
面倒くさい事は好まないが、相談事などは互いにし合う事もある。
電話で話したり、メールをしたり…。
だが、必要最低限の連絡しか取らないし、今以上に相手を知る必要はないし、これ以上深く関わる事もないし、期待も裏切りもない。
それは自分を守る為でもあるが、相手を重んじての事でもある。

ミツは、サトと私の仲を理解できない。
彼には経験のない事なのだろう。
彼が特定の彼女以外の異性と交流を持つときには、必ずと言っていい程、金銭欲、性欲などが絡んでいたのかもしれない。
セフレだとかヒモだからって、情がないわけではないと思う。
でも関係が切れるのは容易い事なのではないのか。
サトとの関係は友達以外の何者でもないが、なぜか一緒にいると安心して心底笑う事ができる。
これからも、サトとはセックスもなく損得も考えずにこの先ずっと友達でいられるような気がする。
例え、ミツと決別しようと。

だから・・・
ミツが妬くのは仕方がない。
彼が嫌味な言い方になってしまったのは、彼自身余裕などなかったのだろうと思う。
私が、彼の前では見せない笑顔を、サトの前では見せているわけだから。

誰にも愛されず。

2004年3月12日
先日、すぐにネットカフェを出て、彼の食べられそうなモノを購入し帰宅した。
彼はぐったりとしていた。
体をマッサージしてあげたりと色々世話をやいた。

帰宅してから1時間後、彼の父親が部屋をノックした。
『ミツ、大丈夫か?熱39度以上あるのか?』
ミツが答えた。
【そのくらいある】
『39度もあるなら病院行った方がいいな。。。。』
ミツの父親は、病院の説明やらインフルエンザがどうだとか…心配した口調で話していた。
私は、それを聞いている途中、気持ち悪くなって記憶が飛んだ。

孤独の殻に閉じ込められたのだ。
現実の世界に身を置き去りにし、私自身は孤独の部屋で一人蹲り勝手に脳内に回想されているモノを見ていた。
それは、私の実際の思いだったのかもしれない。
『私は誰にも心配されない、むしろ風邪などひいたら、移るから帰ってくるなとか怪訝され、熱を出しても誰も傍になどいてくれない。あの日、私が高熱を出してミツを待ち続けた日、ミツの両親はただ一言口にしただけだった、面倒くさそうに。。。寒いならストーブ点けろよ。。。と』

昨夜、私は実家で用事があった為、帰宅するのが遅くなった。
実家からの帰宅途中、ミツにメールをした。
『バスがもうないかもしれないから、具合悪い所申し訳ないんだけど、できたら駅まで迎えにきてくれませんか』
ミツは【こんなに遅くなるんだったら今日は実家に泊まれば。お前も俺も具合悪いんだし】
私が神経質で実家で眠れない事をミツは充分知ってての返事だった。
私は仕方なくネットカフェで朝まで時間を潰そうと思い、ミツには『わかった。それじゃ、今日はゆっくり休んでね』と返事した。
ミツも【おやすみ】と返した。

私はネットカフェの料金を比べ、一番安いミツ宅の最寄駅のネットカフェに行く事にした。
そして途中、バス停を通ったので念の為、時間表を見てみた。
するとまだバスはまだ2、3本残っていた。
私はすぐさま着いたバスに乗り、既に眠りについているであろうミツにメールをした。
『バス、まだ残ってた^^』
メールの返事はすぐに返ってきた。
【もうバス乗ったの?俺はさっきのメールで眠れなくなったからシャワー浴びてた】
そのメールは、私にとって何かの言い訳でしか取れなかった。

家に着いて、彼の体調を伺った。
彼は【薬が効いてるから元気だよ。この薬よく効くなぁ】と言って指差した先には、彼の母親が持ってきた医者からでしかもらえないような薬が置いてあった。

彼がビデオを見たいと言うので、近所のレンタルビデオショップまで、車で向かった。
私は、ここまで来れるなら駅まで迎えにだって来れた筈だと思った。

ビデオを見終わって、彼は再び具合悪い素振りを始めた。
【薬が切れてきた。薬ない?】
眠りかけている私にそう問い掛けた。
私は薬を探してあげる気にはなれなかった。
それはベッドの隣の台の上に、彼の母親が置いておいたモノがあると分かっていたからだ。
私は『わかんない』と目を瞑りながら答えた。
彼はしぶしぶと起き上がり、ベッドの隣の台の上の薬を取りながら…
【お前は、そういうところが冷たいんだよ】と言った。

私の頭に一気に血が上った。
キレそうなのを抑えるのに必死だった。
その時、彼の首を絞め殺したい程の憎悪に駆られていた。

今も頭痛は治まらないが、平常心を取り戻し昨夜の出来事を半分は思い出す事に成功したが、未だあの時の私の感情について正か否か、あるいは正常か異常かが判断できずにいる。

ただ一つ明らかなのは、彼はもう私が愛しいと感じた人ではない。

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